本読むうさぎ

生きるために、考える

読書

最高の読書

「子どもが遊びにハマるのは、遊ぶこと自体が目的であるから」みたいな言葉を見た覚えがあります。 運動能力を高めるためとか、コミュニケーション力を育むためといった目的のためではなく、ひたすらに遊ぶことが楽しいから遊ぶのだ、といったニュアンスだっ…

うさぎの本棚 『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ

a.r10.to 自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。(中央公論新社より) 九州の田舎町を舞台に、傷を抱えた者同士の女性と少…

駄文や乱文の先に道があると信じて

「この書き方好きだな~」と思う文章と出会ったらマネしたくなるもの。 プロ野球選手のスイングを見よう見まねに練習する球児の気持ちでマネしている。 「学ぶ」は「真似る」からきているというが、人間とは不思議なもので、マネするうちに少しずつ型を覚え…

うさぎの本棚 『BUTTER』柚木麻子

a.r10.to 男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命…

声に出して読んでみよう

歌詞を何度も口ずさんでいるうちにいつの間にか覚えていた経験は誰もがあるかと思います。「覚えるときに声に出すとよい」とはよく聞きますが、思い返せばうさぎも「声に出す」ことで読みを深めてきました。 覚えている本との出会いは枕元での読み聞かせでし…

本を読み倒すのに6時間もらえるなら

4月の終わり、GWの幕開け。何をするかあれこれ計画を立て、妄想を膨らませるとある一日。 溜まっている本を消化しようと意気込むうさぎに一言言いたい。 これまでの連休を振り返ってみよ。長期休みに読もうと思って片っ端から買ったあの本やこの本を読みと…

私の手中にあるもの

生の犠牲の上に生を築こうとするのだ。人は、これを、次にはあれを、と考えをめぐらせ、遠い将来のことにまで思いを馳せる。ところが、この生の先延ばしこそ生の最大の浪費なのである。先延ばしは、先々のことを約束することで、次の日が来るごとに、その一…

あんまり暑いから本を読んでやる

長袖でも肌寒かった昨日と打って変わって半袖でも汗がじっとり滲む今日の気温。 春の訪れを喜んだのも束の間、太陽を恨めしく思うようになりました。 あんまり暑いから本を読んでやる。 アイスコーヒーを求めてカフェにいざ参らん。 4月初めに買った柚木麻…

うさぎの本棚 『秘密』東野圭吾

a.r10.to 妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。(BOOKデータベースより) バス事故により小…

四月の底を行く修羅

宮沢賢治と聞けば、『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』を思い浮かべることが多いかもしれない。彼はすぐれた作家であるとともに、詩人としても多くの心を灯す詩を残している。 彼が生前、唯一刊行した詩集の表題作であるとともに終生のテーマであった『春と修…

ストーリーを楽しむ読書からテーマを味わう読書へ

今週のお題「変わった」 わかりやすい話が好きだ。 桃太郎がまさにいい話だ。 桃から生まれた桃太郎がきびだんごでおともにした動物たちとともに鬼をやっつけ、宝を持ち帰りみんなで幸せに暮らす。 妙なひねりなどない真っ直ぐストレート。 そんな単純明快さ…

窓から夕立を待つ

今週のお題「変わった」 アパートに引っ越した。 徒歩圏内に動物園があるため、辺りは静かでとても過ごしやすい。 この家は東向きに窓が付けられており、そこから辺りの景色をぼんやり眺めることがある。 窓の正面がちょっとしたぬかるみになっており、野生…

うさぎの本棚 『一日一禅!今日からはじめる ゆる~い禅』枡野俊明

a.r10.to 仕事や人間関係で悩んだり、不安になったり、腹を立てたり、心がざわざわする日々に疲れていませんか。 そのようなときに禅の考え方や振る舞い方を取り入れることで、いたずらに心が騒ぐことがなくなります。 個人的にすてきだなと思った実践をご紹…

うさぎの本棚 自分のための子守歌

わたしは「なぜ?どうして?」と「ふしぎだな」を確保・持続しておきたいものだと工夫してきた――気がする。 そのひとつが、じぶん用の「オマジナイ」をつくること。もうひとつが(オマジナイに似ているけど)ウタをつくること――だった気がする。(あとがきよ…

うさぎの本棚 新年度に読みたい小説3選

4月から新年度。新しい学校、学年に期待と不安を感じている人は多いことと思います。 楽しいだけが青春じゃない。でも、つまらないだけが青春でもない。 今回は新年度に読みたい小説として、中学~大学を舞台とした作品をご紹介します。 空をつかむまで 関…

身体、服ときて次は小物

十代の頃の読書はまさに血肉を作っている感覚だった。 スポンジのように吸収する、は使い古された言い回しだが、読んだことがどんどん自分の中に蓄えられる感覚はそうとしか言いようがない。 二十代になっての読書は、服を着るような感覚。 必要なときに必要…

うさぎの本棚 思わず読みたくなる本のタイトル3選

ランキング参加中読書 どの本を読もうか迷ったとき、タイトルで選ぶのも1つの方法です。 今回はどんな話なのか気になる、インパクト抜群なタイトルの本をご紹介します。 余計な情報を載せて楽しみを奪わないよう、あらすじは省力しています。 WE LOVE ジジ…

お題 「好きな本を十冊紹介してください」

お題「好きな本を十冊紹介してください」 ランキング参加中読書 ものの見方や考え方に大きく影響したり、何度も繰り返し読んだりしている本を集めました。できるだけ著者や作品の傾向が偏らないように選んだので、次の読書の参考にされてみてください。 小説…

うさぎの本棚 本にまつわる小説3選

本との出会いはいつだってわくわくする。本を通じて新しい世界を知ったり、見知らぬ誰かと知り合ったり…… 今回は本にまつわる小説を3つご紹介します。本との出会いの参考になれば嬉しいです。 本と鍵の季節 米澤穂信 堀川次郎、高校二年で図書委員。不人気…

うさぎの本棚 怖い女の話 3選

悪女、毒婦、妖女……古今東西、怖い女性が登場する話は枚挙にいとまがありません。 火に飛び込む虫のように、危ないとわかりながらも引き寄せられる魔力が潜んでいるのでしょう。 今回は怖い、けどどこか魅力的な女性が登場する小説を3つご紹介します。 BUTT…

うさぎの本棚 野球にまつわる小説3選

代表選手たちの勇姿に湧いたWBC。数々の死闘に勇気をもらったり、励まされたりしました。 そこで、野球にまつわる小説を厳選して紹介します。文学からも野球を楽しんでもらいたらと思います。 バッテリー あさのあつこ 岡山県境の地方都市・新田に引っ越して…

うさぎの本棚 『萩原朔太郎詩集』河上徹太郎編

詩の表現の目的は単に情調のための情調を表現することではない。幻覚のための幻覚を描くためでもない。同時にまたある種の思想を宣伝演繹することのためでもない。詩の目的は寧ろそれらの者を通じて、人心の内部に顫動する所の感情そのものの本質を凝視し、…

読書の生まれる場所

ランキング参加中読書 日常的に読書する人とそうでない人はなぜ生まれるのだろうとときどき考えます。 全国学校図書館協議会が毎年行っている学校読書調査の2022年の結果では、1ヶ月間に読んだ本の数が0冊の児童生徒の割合が、小学生で6.4%、中学生で18.6…

心を奮い立たせる詩  『落ちこぼれ』

同じネタで書いていて芸がないなと自分でも思うけど、いいものはいいのだから今日も書きます。 ランキング参加中読書 大好きな茨木のり子の『落ちこぼれ』という詩。 落ちこぼれ 和菓子の名につけたいようなやさしさ 落ちこぼれ いまは自嘲や出来そこないの…

うさぎの本棚 『日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか』竹内整一

ランキング参加中読書 うさぎが初めておもしろいと思った新書です。 日本をバックボーンに持つ人がなぜ「さようなら」と別れるのか、他の言語での「別れ」の挨拶と比較したり、文学作品等でどのように「さようなら」が登場してきたのかを取り上げたりしなが…

今読んでいる本

ランキング参加中読書 今読んでいる本。 めっちゃ難しいけどおもしろい。 『生の短さについて』著:セネカ 訳:大西英文 じっくり読んでいこう。

うさぎの本棚 『痴人の愛』谷崎潤一郎

きまじめなサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育てあげた美少女ナオミを妻にした。河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄の底へと落ちて…

うさぎの本棚 『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』木下龍也・岡野大嗣

ランキング参加中読書 うさぎの短歌との出会いといえばこの一冊でした。 短歌って学校の授業くらいでしか関わったことがなく、「なんか難しい」イメージがありました。 『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』はわかりやすい言葉で書かれて…

『草の花』から死との向き合い方を考える

ランキング参加中読書 『草の花』福永武彦 物語の内容に触れます。 作品説明 研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上でめぐりあった藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹千枝子との恋にも挫折した汐見茂思。彼は、そのはかなく崩れ易い青春の墓標を、二冊のノ…

自分に軸を置く 受信力

ランキング参加中読書 いつでも、どこでも、何をしていても、ありとあらゆる情報を手に入れられる今の時代。 一般の方でも発信が爆発的に拡散され、インフルエンサーと呼ばれる影響力を持つ人も少なくありません。誰もが手軽に情報を発信、入手しやすくなり…