本読むうさぎ

生きるために、考える

うさぎの本棚 野球にまつわる小説3選

代表選手たちの勇姿に湧いたWBC。数々の死闘に勇気をもらったり、励まされたりしました。

そこで、野球にまつわる小説を厳選して紹介します。文学からも野球を楽しんでもらいたらと思います。

 

バッテリー  あさのあつこ

岡山県境の地方都市・新田に引っ越してきた12歳の原田巧。天才ピッチャーとしての強い自負を持つ巧の前に、彼とバッテリーを組むことを熱望する同級生の永倉豪が現れる。(KADOKAWAより)

野球にまつわる小説と聞いて真っ先に思い浮かべるのが『バッテリー』という人は多いでしょう。才能あるがゆえに周りと衝突したり、自分を追い込んだりしてしまうピッチャーが、女房役のキャッチャーとぶつかりながらも成長していく青春小説。

多感な少年たちの悩みや葛藤が丁寧に描かれており、野球経験者でなくても物語に没頭します。

 

a.r10.to

 

 

赤ヘル1975  重松清

一九七五年――昭和五十年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。(講談社より)

戦後復興の広島を舞台に、精いっぱい生きようとする人々を描いた作品。東京から引っ越してきた少年の目から見た広島の街や野球への熱意に引き込まれます。

心の奥底から熱い何かが溢れてくるような、背中を押してくれるような一冊です。

 

a.r10.to

 

あるキング  伊坂幸太郎

この作品は、いままでの伊坂幸太郎作品とは違います。意外性や、ハッとする展開はありません。あるのは、天才野球選手の不思議なお話。喜劇なのか悲劇なのか、寓話なのか伝記なのか。キーワードはシェイクスピアの名作「マクベス」に登場する三人の魔女、そして劇中の有名な台詞。「きれいはきたない」の原語は「Fair is foul.」。フェアとファウル。野球用語が含まれているのも、偶然なのか必然なのか。バットを持った孤独な王様が、みんなのために本塁打を打つ、そういう物語。(「BOOK」データベースより)

「王が求め、王に求められる」ようにと名付けられた少年の物語。シェイクスピアの「マクベス」と絡めた設定や登場人物が出てくる異様な雰囲気が魅力です。

中心人物である少年は何を思い、何を背負っていたのか。読んだ後もじっと考えてしまいます。

 

a.r10.to

 

以上、3選でした。一口に野球といっても、プレイヤーだったり、支える立場だったり、応援する立場だったりと、角度によって見える景色は違います。

様々な角度から見える野球を楽しんでみてはいかがでしょうか。