本読むうさぎ

生きるために、考える

読書

死と別れの美学

今週のお題「名作」 「好きな作品」と「名作」の違いは何だろう。 特別に思い入れがあるわけではないけど、ついつい見たり聞いたりする作品もあれば、一回きりしか出会っていないのに、今なお心に深く刺さる作品もある。 人生の背骨となるような、悩んだり苦…

本を読みたいならメガネを持て!

仕事でもプライベートでも、画面を見ない日はない。 液晶から飛び込んでくる強烈な光に目と脳がやられ、本を読もうとしても目がしょぼしょぼしたり頭がボーっとしたりする。 いわゆるブルーライトというやつだが、これがなかなかやっかいで、目を疲れさせた…

春のうららに誘われて

今週のお題「外でしたいこと」 気だるげな春のうららに誘われて 体一つと本とコーヒー これさえあればそれで充分 ランキング参加中Think<書くことは考えること> ランキング参加中短文エッセイ

なぜ知ろうとし、伝えようとするのか

はじめに あらすじ 信念 サーカスの座長 おわりに はじめに 私たちは日に何百、何千という情報に触れる。流行のスイーツに芸能人のゴシップ、政治や経済の様子など、情報に触れない日はない。それと同時に、見聞きしたことを伝えもする。SNSを開けば新し…

声を出して読む:本を味わう読書法

本を読み味わう、ということが少なくなったように思います。 声を出して読む、というのは小学生の勉強法のように思えますが、とても身になるやりかたです。 速く、正確に音読するには漢字の読みがわかっていればいいというだけでなく、単語や文節のつながり…

教養の真髄:知識と教養の違い

「教養」とは何でしょう。 世界一高い山の名前やどこかの国の民族衣装の名前を知っていれば教養があると言えるでしょうか。 書店に行けば「大人の教養」とか「知らないと恥ずかしい教養」といった見出しの本がずらりと置かれていますが、あまりの浅はかさに…

笹舟のような私だから

人生うまくやろうなんて、利口ぶった考えは、誰でも考えることで、それは大変卑しい根性だと思う。繰り返して言う。世の中うまくやろうとすると、結局、人の思惑に従い、社会のベルトコンベアーの上に乗せられてしまう。一応世間体もよく、うまくはいくかも…

私は生きた。ここにいた。

「書く」には二つの種類があるように思う。 一つは、結論がすでに決まっていて、そこに向かう「書く」。調査の報告書や質疑応答の文章などが当てはまる。理路整然として無駄が少なく、情報が完結している文章だ。 もう一つは、書きながら結論を創っていく「…

内なる詩人の声を聞け

神と愛の違いはなんだろう。 どちらも目に見えない。手で触れない。「こういうものだ」と定義することができない。けれどもそれを信じる人にとっては、時には命よりも優先されることがある。温度も、匂いもないのに、温もりや安らぎを感じる。 考えてみると…

悲しみの向こうは照らされている

心打つ文章がある。名文とか、美文とかと呼ばれる。 心地よいリズムだったり、含蓄に富んだ内容だったり、軽妙な言い回しだったり、人は時に、文章に慰められることがある。 仏教で人生は苦しみの海に例えられる。どこまで行っても岸にたどり着けず、激しい…

濫読がちょうどいい

カバンが重いなと思って中身を取り出すと四冊も出てきた。 あれも読もうこれも読もうと欲張って突っ込んだせいだろう。 あれもこれも欲しがるのは節度がなく映るのに、あれもこれも読みたがるのは旺盛に映る。考えてみればおかしな話だ。 かの小林秀雄も「読…

ただ、ひたすらに、見る

胸を打つ言葉があります。 友人の一言であったり、街角に流れる歌の一節であったり、まさに太鼓を打ち鳴らすように、心を高鳴らせる、そんな言葉。 そんな言葉と出会った経験がある人は幸福だと思います。胸を打つということは、生きている実感を持つという…

中学生の夏休み、言葉と出会った

中学生の夏休み、塾で入試の過去問を解いていたうさぎは胸がときめいていた。解いていた物語がおもしろかったからだ。続きが気になって気になって、塾を出たその足で本屋に向かったのを覚えている。 本との出会いはいろいろあるが、入試問題で出会うという経…

読書は神聖なんかじゃない

読書家の悪癖とでも言うのだろうか。読書が好きな人は、読書を絶対的な善と信じ切っているきらいがある。本を読むことは誰にとっても良いことで、ほかの趣味とは一線を画すものであるという信念。神格化と言ってもいいかもしれない。なぜ読書を「すばらしい…

傲慢で忘れっぽい私たちに必要なものは何か

私たちは傲慢で忘れっぽいから、折に触れて自らの立ち位置を確かめることが大切だと感じています。そして本は、傲慢で忘れっぽい人間が自らの立ち位置を確かめる一助である、という考え方がここ最近、うさぎの中でしっくりきています。 「文は人なり」という…

2月に向けて

懐に一冊の本を携えて 2月の朝に浸る。 a.r10.to ランキング参加中読書 ランキング参加中短文エッセイ

毎日を再生する

心や思考の拠り所を持つ人は幸せだと思います。 あるときは生き方の指針、またあるとは羽休めの憩い場というように、私が私であることを折に触れて確かめる作業が必要ではないでしょうか。 これが正しい、正解というものはありません。ただ、うさぎにとって…

うさぎの本棚『愛とラブソングの哲学』

少し背の高い あなたの耳に よせたおでこ 甘い匂いに誘われた あたしはかぶとむし 流れ星ながれる 苦しうれし胸の痛み 生涯忘れることはないでしょう 生涯忘れることはないでしょう。 aiko/カブトムシ 愛は人にとって重大で重要なテーマの1つです。 古今東…

時間の使い方と傲慢さ

携帯電話の設定から一日の使用時間を見てみた。平均5時間。 いつの間にそんなに使っていたのか。その時間を別のことに使えばどれほど充実した時間を過ごせただろうに。 人は何とも傲慢なものだ。時間を生み出そうと仕事を効率化したり、高性能な電化製品を…

うさぎの本棚『愛とラブソングの哲学』

世の中はラブソングで溢れている。 片想いしているときや失恋したときに無性に聞きたくなるラブソング。なぜ人はラブソングに引きつけられるのか。 この疑問に答えるには「愛とは何か」を理解する必要がある。では、愛とは何だろうか。 「愛とは何か」「なぜ…

「自分の人生を生きる」にはどうすればいいか

はじめに 夏目漱石が「とかくに人の世は住みにくい」と嘆いたのは今から120年近くも前だが、その頃と比べてどれほど住みやすくなっただろうか。 なぜ人の世はこんなに住みにくいのか。どうすれば、自分の人生を生きることができるだろうか。 内科・心療内科…

『葬送のフリーレン』から考える「大人とは何か」

小学館から出版されている『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人 作画:アベツカサ)は魔王を打ち倒した勇者一行のその後を描いた作品だ。勇者一行の一人で、1000年以上生きる魔法使いフリーレンは「人間を知る旅」に出る。様々な人との出会いや別れを通…

ブックカバーに見る人生

「ブックカバーをかけるのは日本人だけ」という記事を目にした。 読んでいるものですら隠したがるのは日本人くらいなもので、海外ではブックカバーをかけている人はほとんどいないというやや否定的な内容に首肯しかねる部分が多かったが、目の付け所はなかな…

モモを読むんだ

今週のお題「読みたい本」 読もう読もうと机に置いてもう2か月経つ。 いつの間にか時間泥棒に時間を盗まれていたらしい。家の鍵を閉めても時間術を身につけても奴らはぬるりと時間をさらっていく。盗まれた側は気づかない。「自分は大丈夫」と高をくくって…

うさぎの本棚 『I Love Youの訳し方』望月竜馬

夏目漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と訳したのは有名な逸話ですが、あなたなら「I Love You」をどう訳しますか。 この本は100名の作家が表現した「I Love You」が詰まった一冊です。 情熱的な愛、病的な愛、離れなければならない愛。「二人」…

人様の本棚を覗く

屋根裏部屋に本を詰め込んだようなカフェに行った。 小説や実用書、詩集、雑誌、ごちゃごちゃと寄せ集まった本棚に囲まれるのはなんとも居心地がいい。 表紙をざっと眺める。知らない作家。名前だけは知っている書名。読みたいと思っていたけどまだ手が出せ…

最高の読書

「子どもが遊びにハマるのは、遊ぶこと自体が目的であるから」みたいな言葉を見た覚えがあります。 運動能力を高めるためとか、コミュニケーション力を育むためといった目的のためではなく、ひたすらに遊ぶことが楽しいから遊ぶのだ、といったニュアンスだっ…

うさぎの本棚 『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ

a.r10.to 自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。(中央公論新社より) 九州の田舎町を舞台に、傷を抱えた者同士の女性と少…

駄文や乱文の先に道があると信じて

「この書き方好きだな~」と思う文章と出会ったらマネしたくなるもの。 プロ野球選手のスイングを見よう見まねに練習する球児の気持ちでマネしている。 「学ぶ」は「真似る」からきているというが、人間とは不思議なもので、マネするうちに少しずつ型を覚え…

うさぎの本棚 『BUTTER』柚木麻子

a.r10.to 男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命…