本読むうさぎ

人間と名乗るには未熟なうさぎ

物語はなぜ人を惹きつけるのか│『遠慮深いうたた寝』に見る死と官能

作家の小川洋子のエッセイ『遠慮深いうたた寝』で、優れた文学作品には官能とユーモアが欠かせないと述べている。 生み出す人も味わう人も、結果溺れてしまう人も、とにかく関わる全員が必死な状態に追い込まれてしまう。今日はこれぐらいにしておいて、残り…

「スマホを置けば救われる」わけじゃない│退屈との向き合い方

今日、もっとも退けられるべき第一のものと言えば、たぶん「退屈」です。 「退屈」したらおしまい。「退屈」にまさるストレスはなく、「退屈」にまさる不安もなく、「退屈」という言葉ほど、人を脅かす言葉もありません。 長田弘『なつかしい時間』 せっかく…

「イチゴの味」を知らないAIと、マッチを擦ったことがない子どもたち│日常生活から見る体験格差

中学1年生のときに数学でつまづいた。マイナスという概念がうさぎの中でうまく育たず、「自分は今何をしているんだ?」とチンプンカンプンなまま問題に向き合っていた。 AIはイチゴを「理解する」ことができるのか? 認知科学の未解決問題に、「記号設置問…

キャラクターの年齢を超えていく寂しさについて|のび太と『檸檬』の「私」に重ねる

マンガやアニメの登場人物の年齢を超えると、「年をとったなあ」と感じる。 小学生の頃、夕食時にテレビを点けるとクレヨンしんちゃんとドラえもんが流れていた。ご飯を食べながらのび太たちのドタバタ劇を見ていたのだが、あるとき重大なことに気づいた。 …

「わかりやすい」の呪いを解いて│広大な世界を楽しむ読書術

「わかりやすい」は呪いの言葉だと思う。わかりやすいことはいいことだからだ。 時間と手間をかけてするのだから、1つでもいいから、何かを得なければ元が取れない。 狩りがそうだ。道具の準備し、天候を予測し、体調を整え、茂みに隠れて獲物を探す。集中…

集中と『スマホの呪縛」のあいだで│夏のカフェ読書と、思考の引き出し

1日に3回お風呂に入った。目覚めに1回。午前の外出から帰ってきて1回。夜に1回。汗を流しても流しても数分も経てば汗ばんでくるからきりがない。 ショッピングモールに行くと、アパレルショップに秋服が並んでいるのが見ていて暑苦しい。あまりにも先取…

酒と可能性と太平

同僚と酒の話になった。 彼は毎日晩酌をしており、昔は風呂上がりの缶ビールが欠かせなかったが、今は焼酎をなめるのが楽しいと語った。 うさぎはというと、家ではほとんど酒を飲まない。3か月に1回くらい、子うさぎたちを眠らせてから妻うさぎとちびりと…