本読むうさぎ

生きるために、考える

うさぎの本棚 『痴人の愛』谷崎潤一郎

きまじめなサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育てあげた美少女ナオミを妻にした。河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄の底へと落ちていく。

性の倫理も恥じらいもない大胆な小悪魔が、生きるために身につけた超ショッキングなエロチシズムの世界。(Amazonより)

 

a.r10.to

 

『陰翳礼讃』で谷崎潤一郎を知り、彼の小説も読んでみたいな~と思って選びました。

 

悪女に溺れて堕落する男性を描いた作品で、愚かな男性の心理が丁寧に書かれています。

男性の視点から描かれているため、ナオミの表情や言葉、仕草といった外見上のことしか描かれておらず、彼女がどう考えているかはわかりません。それでも読んでいて何度ぞっとしたことか。

ナオミの言動のみを描くことで内面を読み手に想像させることで読み手一人ひとりの「悪女」が出来上がる。

恐ろしさの中の美しさというか、美しいものにはどこか、刃物のように鋭い恐ろしさが隠されている。美しいだけのもの、恐ろしいだけのものだとすぐに離れてしまいますが、この2つを持つからこそ、人は「悪女」に魅了されるのではないでしょうか。

 

これだから読書は止められんな~。