本読むうさぎ

生きるために、考える

文字にあらわれる美意識

日本語は文字そのものに「美」を見出す不思議な言語。 バラ、ばら、薔薇、同じ音でも表現は幾通り。 不思議なことに、表現を変えると呼び起こされるイメージも変わる。 どの表現を使うかには、その人の価値観が反映している。美意識と言ってもいいかもしれな…

よい生活はよい睡眠から

連日、就寝時刻が日付を超えることがあり、頭が茫としていた。 頭が鈍ると判断が鈍る。判断が鈍ると些細な言動にボロが出る。そこからさらに大きなボロにつながり、ボロボロと崩れていく。 作るは難しく、壊すは易いものだ。 睡眠不足が続くと認知能力が下が…

うさぎの本棚 『異邦人』カミュ

噛みごたえのある本と出会った。 耳を聾する轟音とともに、すべてが始まったのは、このときだった。 母の日の翌日、海水浴に行き、女と映画を楽しみ、一晩をともにし、人を撃ち殺し、動機について「太陽のせい」と答える。 端から見ると狂っているようにしか…

ある一日のはじまり

魚を焼いて食べる。 塩気と脂を緑茶で押し流す。 食道を伝って胃へ広がっていく。 三月の朝日が差し込んでいる。 どうしようもなく春だ。 ランキング参加中短文エッセイ ランキング参加中ライフスタイル

読みおわらないことの幸福

人はなぜことばに救われたり、支えられたりするのだろう。 何気ない一言だったり、小説の一節だったりに心を動かされるのはなぜだろう。 国語の教科書にも載っている谷川俊太郎の『生きる』という詩がある。教科書のいちばんはじめに載っていて、四月の最初…

AIに小説は書けるだろうか

AIに小説は書けるだろうか。 AIに出力させた文章(というよりは文字の羅列)は、小説と呼べるだろうか。 a.r10.to ランキング参加中読書 ランキング参加中Think<書くことは考えること>

なぜ知ろうとし、伝えようとするのか

はじめに あらすじ 信念 サーカスの座長 おわりに はじめに 私たちは日に何百、何千という情報に触れる。流行のスイーツに芸能人のゴシップ、政治や経済の様子など、情報に触れない日はない。それと同時に、見聞きしたことを伝えもする。SNSを開けば新し…

老いるとは老けることではない

園児たちの寝息を聞きながら、老いへの恐怖に一人震えていた。 保育園の頃の話だ。広間で雑魚寝しているときにふっと不安が湧いた。 寝ているうちに家族が死んでしまったらどうしよう。 一度抱いた不安は消えるどころか、とりとめもなく広がっていく。 この…

追い求める豊かな言葉

書くのは魚を手で掴まえるようなものだ。 頭の中に言いたいことがある。魚影のように黒くほのかにとよぎっていく。 どうにかそれを掴み、文章の上に載せようと試みるが、それはゆらりと身をくゆらせ逃げてしまう。後を追いかけ追いかけかき乱すうちに言いた…

無人の美術館の幸福

町の小さな美術館に立ち寄った。 花がテーマの企画展が開かれており、地元にゆかりのある画家の作品が展示されていた。 有名であるかどうかと作品が優れているかどうかは必ずしも一致するわけではないとわかっていても、名のある画家を前にすると、どうして…

声を出して読む:本を味わう読書法

本を読み味わう、ということが少なくなったように思います。 声を出して読む、というのは小学生の勉強法のように思えますが、とても身になるやりかたです。 速く、正確に音読するには漢字の読みがわかっていればいいというだけでなく、単語や文節のつながり…

教養の真髄:知識と教養の違い

「教養」とは何でしょう。 世界一高い山の名前やどこかの国の民族衣装の名前を知っていれば教養があると言えるでしょうか。 書店に行けば「大人の教養」とか「知らないと恥ずかしい教養」といった見出しの本がずらりと置かれていますが、あまりの浅はかさに…

熱と味を感じるコーヒーの発見

今週のお題「大発見」 うさぎは傲慢で忘れっぽいから、すぐに未来に不安を抱いたり、過去を思い出して懐かしんだりする。目は前を向いていても、見てはいない。なんとも傲慢なことだ。 ふらりとカフェに入り、ホットコーヒーを買った。マグカップを受け取り…

語ることはない

仕事を終えて家に帰り、ちょいとひと眠りしようと目をつぶると、3時間経っていた。 遅い晩ご飯を食べてコーヒーを飲むと気分がスッキリした。 ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ

我慢と努力をはき違えていないか

ものの本にこんなことが書いてあった。 人は努力と我慢を混同します。 我慢は努力ではありません。 我慢はあなたの思考が生んだ不安です。 似た話ならほかでも読んだし、聞いたりもした。 しかし、今のうさぎにはこの言葉が響いた。 人は今しか生きることが…

もう少し休んだら仕事に行く

仕事から帰ると、背中に力士が乗ったのかと思うくらい心身が重くなる。激しく運動したわけではない。誰かから心無い言葉を言われたわけでもない。それでも疲れた。何に?人に。顔を合わせて話をするのはそれだけでエネルギーを使う。 エネルギーが足りないか…

笹舟のような私だから

人生うまくやろうなんて、利口ぶった考えは、誰でも考えることで、それは大変卑しい根性だと思う。繰り返して言う。世の中うまくやろうとすると、結局、人の思惑に従い、社会のベルトコンベアーの上に乗せられてしまう。一応世間体もよく、うまくはいくかも…

自分への戒め

役に立つ本はない。本を役に立てるかどうかがあるだけだ。 ランキング参加中読書

書くことと夜の関係 月夜にボタンを拾う

本で、テレビで、SNSで、中吊り広告で、日常のいたるところで、文字を見ない日はありません。文字を見るということは、それを書いた人がいるということ。そういえば、「書」の成り立ちはどうなっているのだろうと検索してみると、「手に筆を持つ様子(聿)」…

私は生きた。ここにいた。

「書く」には二つの種類があるように思う。 一つは、結論がすでに決まっていて、そこに向かう「書く」。調査の報告書や質疑応答の文章などが当てはまる。理路整然として無駄が少なく、情報が完結している文章だ。 もう一つは、書きながら結論を創っていく「…

春が来たからウグイスが鳴くのか、ウグイスが鳴くから春が来るのか

かゆい。かゆくてたまらない。少しかいたらもっとかゆくなった。 久々の晴れだから散歩に出た。桜の薄桃や梅の鮮やかな赤を遠くに眺めながらゆらりゆらり歩いていると目の周りがかゆくなった。 花粉だ!と気づいたときにはもう遅い。目と鼻をぐじゅぐじゅに…

怖さの中の神秘

怖い花がある。 落ちた花があまりに鮮やかで、まるで生首のように見つめてくる気になる。 怖い怖いと思っていても、道ばたの生け垣や公園の花壇に植わっているのを見つけると、「あ、椿だ」と引き寄せられる。怖いもの見たさというか、怖さの中に、人を引き…

内なる詩人の声を聞け

神と愛の違いはなんだろう。 どちらも目に見えない。手で触れない。「こういうものだ」と定義することができない。けれどもそれを信じる人にとっては、時には命よりも優先されることがある。温度も、匂いもないのに、温もりや安らぎを感じる。 考えてみると…

悲しみの向こうは照らされている

心打つ文章がある。名文とか、美文とかと呼ばれる。 心地よいリズムだったり、含蓄に富んだ内容だったり、軽妙な言い回しだったり、人は時に、文章に慰められることがある。 仏教で人生は苦しみの海に例えられる。どこまで行っても岸にたどり着けず、激しい…

濫読がちょうどいい

カバンが重いなと思って中身を取り出すと四冊も出てきた。 あれも読もうこれも読もうと欲張って突っ込んだせいだろう。 あれもこれも欲しがるのは節度がなく映るのに、あれもこれも読みたがるのは旺盛に映る。考えてみればおかしな話だ。 かの小林秀雄も「読…

ただ、ひたすらに、見る

胸を打つ言葉があります。 友人の一言であったり、街角に流れる歌の一節であったり、まさに太鼓を打ち鳴らすように、心を高鳴らせる、そんな言葉。 そんな言葉と出会った経験がある人は幸福だと思います。胸を打つということは、生きている実感を持つという…

「大人の」チョコで大人を知る

今週のお題「ほろ苦い思い出」 子どもはいつだってはやく大人になりたがる。 だから「大人の」と名のつくものに惹かれる。 いつも食べるチョコ。親に連れられてお気に入りのチョコを手に取る。ふと横を見ると、今手に取ったチョコの「大人の」味が置いてある…

中学生の夏休み、言葉と出会った

中学生の夏休み、塾で入試の過去問を解いていたうさぎは胸がときめいていた。解いていた物語がおもしろかったからだ。続きが気になって気になって、塾を出たその足で本屋に向かったのを覚えている。 本との出会いはいろいろあるが、入試問題で出会うという経…

読書は神聖なんかじゃない

読書家の悪癖とでも言うのだろうか。読書が好きな人は、読書を絶対的な善と信じ切っているきらいがある。本を読むことは誰にとっても良いことで、ほかの趣味とは一線を画すものであるという信念。神格化と言ってもいいかもしれない。なぜ読書を「すばらしい…

心をときめかせる何かを見つけよう!

今週のお題「元気を出す方法」 格言とかメッセージが書かれた日めくりカレンダーってあるじゃないですか。 まいにち、修造みたいな。 それの365日バージョンでうさぎの誕生日の日付に書かれていたメッセージ。 「悩んだときは本屋に行きなさい」 言われて…