本読むうさぎ

生きるために、考える

「大人の」チョコで大人を知る

今週のお題「ほろ苦い思い出」

 

子どもはいつだってはやく大人になりたがる。

だから「大人の」と名のつくものに惹かれる。

いつも食べるチョコ。親に連れられてお気に入りのチョコを手に取る。ふと横を見ると、今手に取ったチョコの「大人の」味が置いてある。パッケージも見慣れた明るく、元気で、いかにもチョコたっぷりでござい!!という感じではなく、黒く、暗く、とてもおいしそうには見えない。でもなぜか気になる。

勇気を出して「大人の」を買うことにする。車に揺られながら、一回り大きくなった気がした。

さて、意気揚々と封を開け、「大人の」を一口。あれ?普通においしい。もう一口。やっぱりおいしい。むしろ、普段食べているものよりも甘さが控えられている分こっちのほうがいいぞ。「大人の」味というのは、子どもにはわからない、独特な、奇妙な味がするものだと思っていたのに、子どもでも食べられるどころか、子ども用のものよりおいしい。ぺろりとたいらげた後に気づいた。

 

大人って、子どもと変わらないんだな。

 

空の袋をくしゃっと丸めてゴミ箱に投げ捨てた。

 

a.r10.to