本読むうさぎ

生きるために、考える

濫読がちょうどいい

カバンが重いなと思って中身を取り出すと四冊も出てきた。 あれも読もうこれも読もうと欲張って突っ込んだせいだろう。 あれもこれも欲しがるのは節度がなく映るのに、あれもこれも読みたがるのは旺盛に映る。考えてみればおかしな話だ。 かの小林秀雄も「読…

ただ、ひたすらに、見る

胸を打つ言葉があります。 友人の一言であったり、街角に流れる歌の一節であったり、まさに太鼓を打ち鳴らすように、心を高鳴らせる、そんな言葉。 そんな言葉と出会った経験がある人は幸福だと思います。胸を打つということは、生きている実感を持つという…

「大人の」チョコで大人を知る

今週のお題「ほろ苦い思い出」 子どもはいつだってはやく大人になりたがる。 だから「大人の」と名のつくものに惹かれる。 いつも食べるチョコ。親に連れられてお気に入りのチョコを手に取る。ふと横を見ると、今手に取ったチョコの「大人の」味が置いてある…

中学生の夏休み、言葉と出会った

中学生の夏休み、塾で入試の過去問を解いていたうさぎは胸がときめいていた。解いていた物語がおもしろかったからだ。続きが気になって気になって、塾を出たその足で本屋に向かったのを覚えている。 本との出会いはいろいろあるが、入試問題で出会うという経…

読書は神聖なんかじゃない

読書家の悪癖とでも言うのだろうか。読書が好きな人は、読書を絶対的な善と信じ切っているきらいがある。本を読むことは誰にとっても良いことで、ほかの趣味とは一線を画すものであるという信念。神格化と言ってもいいかもしれない。なぜ読書を「すばらしい…

心をときめかせる何かを見つけよう!

今週のお題「元気を出す方法」 格言とかメッセージが書かれた日めくりカレンダーってあるじゃないですか。 まいにち、修造みたいな。 それの365日バージョンでうさぎの誕生日の日付に書かれていたメッセージ。 「悩んだときは本屋に行きなさい」 言われて…

厳正な知力で楽しむ曖昧さ

電撃が走るという表現がある。 衝撃的な印象や感銘を受けた様子を電撃に例えた言葉だ。実際に体に電撃が流れたことがない人でも(ほとんどの人がそうだが)、どんな感覚なのかなんとなくイメージができるだろう。「天啓」とか「インスピレーション」をあてる…

本を通じて人や場所と出会う

近場で読書会が開かれるらしい。 地元の情報誌をめくっていたら開催の予定を知り、悩んだすえ申し込んだ。 読書会なぞはじめてだからどんな感じで行けばいいのかわからない。 どんな人が何人来るかもわからない。 「はじめて」に飛び込むのに必要なのは勇気…

傲慢で忘れっぽい私たちに必要なものは何か

私たちは傲慢で忘れっぽいから、折に触れて自らの立ち位置を確かめることが大切だと感じています。そして本は、傲慢で忘れっぽい人間が自らの立ち位置を確かめる一助である、という考え方がここ最近、うさぎの中でしっくりきています。 「文は人なり」という…

2月に向けて

懐に一冊の本を携えて 2月の朝に浸る。 a.r10.to ランキング参加中読書 ランキング参加中短文エッセイ

朝のあいさつ

この時期の朝日は紅い。空を、雲を、山を紅く染めて飛び込んでくる。ゴミステーションへ持っていく途中、通勤電車の車窓、何かの作業中、ふと顔を上げたときに見る朝日は、どう映るのだろうか。 今日も一日、よろしくお願いします。 ランキング参加中ライフ…

スマホ時代に失われた手の魅力

ふとした瞬間に思わず見入ってしまうことがあります。顔にかかった髪をかき上げたり、鏡の前でネクタイを締めたりする姿に色気を感じるのには、手が重要な役割を果たしています。心情を表すときに靴ひもを結んだり、煙草に火を点けたりするのも、手に焦点が…

坂の上の雲と坂の下の穴ぼこ モノを手に入れる生き方とは

見渡してみると私たちの身の回りはなんとまあモノで溢れていることでしょう。 モノを手に入れることにあくせくして、さて、手に入れた後はどうでしょう。 壊れたらすぐ捨てたり流行の先端を求めたりして、モノと添い遂げるということはすっかりなくなってし…

たあいもない話

こんな話をした。 桜が咲いたから春が来るのか、それとも春が来るから桜が咲くのか。 冬が、終わろうとしている。 ランキング参加中ライフスタイル ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ

美意識の磨き方:「品」を創るために

「品」という言葉をよく見聞きします。 物の良し悪しを評価するのは「品質」、人の気質を見定めるのは「品格」、オホホと笑うのは「上品」でゲヘヘと笑うのは「下品」と言うように、「品」には常にイメージが伴います。 「品」が呼び起こすイメージは、外見…

毎日を再生する

心や思考の拠り所を持つ人は幸せだと思います。 あるときは生き方の指針、またあるとは羽休めの憩い場というように、私が私であることを折に触れて確かめる作業が必要ではないでしょうか。 これが正しい、正解というものはありません。ただ、うさぎにとって…

本とともに年を重ねる

長年連れ添ってきた本に身に覚えのないシワができていた。 シワを指先で撫でてみた。水でもこぼしたのだろうか、よれて固くなっていた。よれた紙は年輪のような、独特の風格を帯びる。 忘れてしまった記憶。本だけが覚えている記憶。 ともに月日を過ごすとい…

うさぎの本棚『愛とラブソングの哲学』

少し背の高い あなたの耳に よせたおでこ 甘い匂いに誘われた あたしはかぶとむし 流れ星ながれる 苦しうれし胸の痛み 生涯忘れることはないでしょう 生涯忘れることはないでしょう。 aiko/カブトムシ 愛は人にとって重大で重要なテーマの1つです。 古今東…

孤独のすすめ

モバイル社会研究所が2022年に実施した調査によると、スマホ所有率は小学6年生で半数を超え、中学2年生では8割を超えるそうです。SNSやゲームを通じていつでもどこでも、誰とでもつながれる世の中となって久しいですが、どうにも大事なものが私たちから欠…

日常のバランスが健康を創る

運動不足がたたって着実に肉がついている。 体組成計によれば体脂肪率が2%ほど上がっているらしい。 無機質なデジタルが現実を突きつける。 人間の体はシンプルだ。食べて、動いて、出して、寝る。これらを毎日バランスよく行うだけで自然と整うものである…

誰が大人を支えるのか 『葬送のフリーレン』から考える

人には心の拠り所、支えが必要だ。 『葬送のフリーレン』ではたびたび「大人の心の支え」が描かれる。 風邪をひいて心細いとき、手を握ってもらうと安心するように、寄り添ってくれる存在が必要なのは子どもだけでなく、大人もだ。 子どもには保護者がいる。…

時間の使い方と傲慢さ

携帯電話の設定から一日の使用時間を見てみた。平均5時間。 いつの間にそんなに使っていたのか。その時間を別のことに使えばどれほど充実した時間を過ごせただろうに。 人は何とも傲慢なものだ。時間を生み出そうと仕事を効率化したり、高性能な電化製品を…

モチベーションを左右する服装ルーティン化

その日何を着るかでモチベーションは大きく左右される。 朝から服を選ぶのはよろしくない。あれでもない、これでもないと悩んでしまうと、その日一日中悩み続けるような気がする。そこで服装のルーティン化というか、お決まりの組み合わせをあらかじめ作って…

うさぎの本棚『愛とラブソングの哲学』

世の中はラブソングで溢れている。 片想いしているときや失恋したときに無性に聞きたくなるラブソング。なぜ人はラブソングに引きつけられるのか。 この疑問に答えるには「愛とは何か」を理解する必要がある。では、愛とは何だろうか。 「愛とは何か」「なぜ…

「自分の人生を生きる」にはどうすればいいか

はじめに 夏目漱石が「とかくに人の世は住みにくい」と嘆いたのは今から120年近くも前だが、その頃と比べてどれほど住みやすくなっただろうか。 なぜ人の世はこんなに住みにくいのか。どうすれば、自分の人生を生きることができるだろうか。 内科・心療内科…

2023年に読んでよかった詩『祝婚歌』

人は生きていると徐々に傲慢になってしまうものだ。 「自分は傲慢ではない」と言い切る人ほど視野が狭いものはない。 「自分は傲慢ではない」と思っている時点ですでに傲慢なことに気づいていないのだ。 人はどうやって己の傲慢さに気づくのだろうか。 誰か…

ホテルの部屋が寒かったのが原因かもしれない

ホテルの部屋が寒かったのが原因かもしれない。 元日、遠方の親戚宅に集まった帰り。朝早くから運転し通しだったのでしっかり体を休めてから帰ろうという話になった。 いつもは素通りする街をぶらつき、居酒屋で少し飲んで、ああ、いい正月だねなんて話しな…

ホテルの部屋が寒かったのが原因かもしれない

ホテルの部屋が寒かったのが原因かもしれない。 元日、遠方の親戚宅に集まった帰り。朝早くから運転し通しだったのでしっかり体を休めてから帰ろうという話になった。 いつもは素通りする街をぶらつき、居酒屋で少し飲んで、ああ、いい正月だねなんて話しな…

美しく生きる1年を

「今年もいろいろなことがあった」 毎年つぶやいている気がする。 おそらく10年前も同じことをつぶやいた。 10年後も同じことをつぶやいているだろう。 1年近くの休職、そこからの復帰、引っ越し、育児。 ライフイベントが畳みかけるように押し寄せる中…

不思議な数週間の告別の物語『バイバイ、ブラックバード』

今年読んだ本の中で特におもしろかったのは伊坂幸太郎の『バイバイ、ブラックバード』だ。 星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気「上…