本読むうさぎ

生きるために、考える

孤独のすすめ

モバイル社会研究所が2022年に実施した調査によると、スマホ所有率は小学6年生で半数を超え、中学2年生では8割を超えるそうです。SNSやゲームを通じていつでもどこでも、誰とでもつながれる世の中となって久しいですが、どうにも大事なものが私たちから欠落している気がします。

資本主義は人と人がつながることで資本、つまり価値が生まれます。これは誰かと誰かの間に関係が生まれること、人のつながりの上に成り立っています。社会が豊かになるにつれより速く、より多く、より多様に他者とつながることが重要視されます。そうして世の中はどんどん「人とつながらなければならない」という思い込みを強め、「独りでいること」は悪いことだと見なされるようになりました。

ですが、私を私たらしめるのはこの「独りでいること」だと思うのです。

何にも干渉されず、誰の目も気にせず、ひたすらに独りでいる。孤独というホームベースの中で思考を磨くのです。磨きあげた思考を持ってホームベースを飛び出し、他者と関わり、また思考を磨く。そうして私「らしさ」は作られます。

ですが、人とのつながりを神聖視するかのような世の中では、まず他者と関わり、刺激を受ける。順番が逆なんです。自分の思考を持っていないから他者のものを自分のもののように受け入れる。ところが他者の靴を履くようなものだから自分には合わず、どこかでつまづく。なぜ自分がつまづくのかわからないからまた他者の思考を鵜呑みにする。どこかで聞きかじったことを得意顔で吹聴する人が雨後の筍みたいにニョキニョキ湧くのです。

つながるのは簡単になった一方、孤独になるのは難しくなった社会。孤独のホームベースで磨きあげた思考という靴を履き、今日を歩きたいものです。

 

a.r10.to