今週のお題「名作」
『読書力』(齋藤孝著、岩波新書)に「日本には聖書のような唯一絶対の本、すなわちthe Book of the Booksがないから、たくさんの本を読む必要があった」という一節がある。
唯一絶対の価値、指標をもつ本がないからこそ、貪るように読み漁り、自分に必要なものを選び取る。
数あるthe Booksの中から「これだ」と思うthe Bookを選んでいくことで「私」は作られていく。
そう考えると、絶対的な価値をもつ「名作」というものはなく、私が選んだものが「名作」になる。いや、私が「名作」にしていくと言ってもいいのかもしれない。
夜、眠るまでのちょっとした読書にふさわしいのが『月とコーヒー』(吉田篤弘作、徳間書店)だ。
コーヒーを飲みながら、ゆっくりと物語に浸る。そんなひとときがもてたら、それで充分ではないだろうか。