新しい月が始まると、新しいことをしたくなるものだ。
健康のためにランニングを始めたい、読めていない本を読みたい、などなど。
目標を立てたはいいけど、達成できたことははたしてどれくらいあっただろうか。
うさぎが覚えている限り、目標を達成したことは片手であまるほどしかない。
うさぎは考えた。なぜ目標を達成できないのか。
そして一つの考えにたどり着いた。
どう行動するかを最高地点で考えてしまっているから達成できないのではないかと。
ランニングを始めたり、本を読んだりするのはいわば山の頂上だ。
頂上に登る方法は二つしかない。
ヘリコプターやロープウェイなどを使って楽に登るか、自分の足で地道に登るかだ。
ヘリコプターに乗ってビューンと飛んでいけたらいいのだが、そうはいかないのが現実だ。
私たちは常に自分の足で頂上を目指さなければならない。
目は頂上を向くのだが、自分の状態がどうなっているのかに気づいていない。
山を登るための装備や体の調子など、自分の現在地がどこにあるのかをわかっていないから、すぐに挫折してしまう。
ヒールを履いて山に登る人はいないし、熱があるのにほったらかしにする人もいない。
端から見たらどれほどおかしいかすぐにわかるのに、自分の身になるとなかなか気づかないものだ。
ランニングを始めたいのにウェアやシューズを持っていなかったり、物理的に走る時間をつくるのが難しかったりしている。
本を読みたいのに隙間時間にはスマホを触ったり、しなければならないことに追われたりしている。
状態が落ち着いていないのに上へ上へ登ろうとして、「自分はダメなやつ」と自己嫌悪に陥る。
そんな状況になっていないだろうか。
私たちは頂上を見据える前に、足元を見つめるべきではないか。
ランニングを始める前に、少しでも歩く数を増やしてみる。
本を読む前に、スマホやゲームの時間を短くしてみる。
地味でも野暮でもいい。できる一歩を踏み出すところから始めてみてはどうだろうか。
まさに千里の道もなんとやらだ。