本読むうさぎ

生きるために、考える

俳諧の道のなほ遠く

ちょっとわかりづらいけど、杉の皮に雪が隠れていた。 ちょこんと隠れていて可愛かったから撮った。 山を登りながら歩きながら言葉遊びをする。 思い浮かんだ言葉を俳句や短歌の形にする。 たいていは詩の形にまとまらないし、まとまったとしても拙い出来栄…

明るい方へ

今日は良い日だった。 自分を喜ばせてあげられた。 自分の機嫌を取れるのは自分だけ 明るい方へ 明るい方へ 空に枝を伸ばす木のように。

胸の泉に  塔和子

かかわらなければ路傍の人―塔和子の詩の世界 作者:川崎正明 編集工房ノア Amazon 胸の泉に 塔和子 かかわらなければ この愛しさを知るすべはなかった この親しみは湧かなかった この大らかな依存の安らいは得られなかった この甘い思いや さびしい思いも知ら…

お魚 金子みすゞ

金子みすゞ名詩集 作者:金子みすゞ 彩図社 Amazon お魚 金子みすゞ 海の魚はかわいそう。 お米は人につくられる、 牛は牧場で飼われてる、 鯉もお池で麩を貰う。 けれども海のお魚は なんにも世話にならないし いたずら一つしないのに こうして私に食べられ…

あどけない話 高村光太郎

智恵子抄 (ハルキ文庫) [ 高村光太郎 ]価格: 293 円楽天で詳細を見る あどけない話 高村光太郎 智恵子は東京に空が無いという、 ほんとの空が見たいという。 私は驚いて空を見る。 桜若葉の間に在るのは、 切っても切れない むかしなじみのきれいな空だ。 …

痛み

足の痛みが和らいできました。 身体の痛みはいつか収まるでしょう。 心の痛みは続いています。 今も見えない傷から血が滴っています。

からたちの花 北原白秋

北原白秋詩集 (新潮文庫) 作者:白秋, 北原 新潮社 Amazon からたちの花 北原白秋 からたちの花が咲いたよ。 白い 白い 花が咲いたよ。 からたちのとげはいたいよ。 青い青い針のとげだよ。 からたちは畑のかきねよ。 いつもいつもとおる道だよ。 からたちも…

汚れつちまつた悲しみに……  中原中也

中原中也詩集 (新潮文庫) [ 中原中也 ]価格: 605 円楽天で詳細を見る 汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也 汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる 汚れつちまつた悲しみは たとへば狐の革裘 汚れつ…

人もなき

人もなき 秋空焦がす 山もみじ

あの夜の会話 草野心平

秋の夜の会話 草野心平 さむいね。 ああさむいね。 虫がないてるね。 ああ虫がないてるね。 もうすぐ土の中だね。 土の中はいやだね。 痩せたね。 君もずゐぶん痩せたね。 どこがこんなに切ないんだらうね。 腹だらうかね。 腹とつたら死ぬだらうね。 死にた…

雪 三好達治

雪 三好達治 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む。 「太郎」と「次郎」は何者なのか。人間なのかそれ以外なのか。 「太郎」と「次郎」は近くにいるのか。遠く離れているのか。 「太郎」と「次郎」は生きているの…

華々しい意志

落ちこぼれ 茨木のり子 落ちこぼれ 和菓子の名につけたいようなやさしさ 落ちこぼれ 今は自嘲や出来そこないの謂 落ちこぼれないための ばかばかしくも切ない修業 落ちこぼれにこそ 魅力も風合いも薫るのに 落ちこぼれの実 いっぱい包容できるのが豊かな大地…

秋の空気

秋の空気を胸いっぱいに 吸いこんで これ以上吸えないところまで 蓄えて ひと時胸の中で 転がして 空っぽになるまで 吐き出して こころもからだも 白く透き通るまで 繰り返す

夕日の中を歩けば いつか夕日に溶けるだろうか 夕日となれば あなたの道を照らせるだろうか

日々、移ろい

近所を散歩していると、思わぬ出会いがある。 昨日は公園にカタバミを見つけた。 今日は農道を運転しているとコスモスの群生と出会った。 近くの農家さんが植えられているのだろう、薄紫やら薄桃やら白がこんもりと咲いているのを遠目に見つけると気分がいい…

牡丹の芽

最近読んだ落語でいいなと思う言葉と出会った。 噺家とタクシーの運転手が話している。運転手は80歳くらいで、往年の噺家について話しているうちに、運転手が昔乗せた噺家のある若い弟子の話になる。修行の身で金を持ち合わせておらず、運賃を払えないから…

「頑張れ」と言わない応援歌

水平線が光る朝に あなたの希望が崩れ落ちて 風に飛ばされる欠片に 誰かが綺麗と呟いてる 悲しい声で歌いながら いつしか海に流れ着いて 光って あなたはそれを見るでしょう back number「水平線」 コロナ禍で中止になったインターハイを目指していた高校生…

文学誌 MONKEY

ニッチな話。 『MONKEY』という文学誌を読んでいる。 www.switch-store.net 定期購読ではない。書店で、文学誌コーナーにひっそりと積まれているのを買う。 翻訳家の柴田元幸さんが編集を務めており、毎号のテーマに沿って国内外の短編や詩が載っている。 絵…

金木犀よ

道を歩いていると ふと金木犀が香った どこに咲いているのかと 辺りを見回してみたが 花影を見つけることはできず 気づくと香りもなくなっていた しばらくそこで待ったが 二度と香ることはなかった 姿を見せず 気まぐれに香る花よ 伝えたいことがあったのか …

詩に触れ、言葉を蓄え、心を育む

やまと歌は人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれる 古今和歌集の仮名序の出だしです。仮名序は現代でいうはじめに当たる部分。初めて本格的に和歌について論じた歌論として、教科書にも載っています。 やまとうたは、人の心を出発点として、さまざまな言…

夕日

若者が道を歩いている 頭上では厚い雲の切れ間から陽が差している 一日の終わりを告げる夕日だ 波の立たない穏やかな海に降りそそぐものもあれば 青く遠い秋空に朱を滲ませるものもある だが、若者はうつむいて陽に気づかない ときおり足を止めてはため息を…

心が麻痺すると ボウリング玉を抱えたように重くなる 心が感じようとするのを拒むのだ それはこれ以上つらくならないようにするための防衛機能 玉を抱きかかえ、暗く、ぬるく、まとわりつく沼に沈んでいく 吐き出たあぶくは昇ってしまってもう見えない その…