雪 三好達治
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む。
「太郎」と「次郎」は何者なのか。人間なのかそれ以外なのか。
「太郎」と「次郎」は近くにいるのか。遠く離れているのか。
「太郎」と「次郎」は生きているのか。もうこの世にはいないのか。詳しい説明はなにもない。
わかるのは、屋根に雪が降り積もっていることだけ。
この詩の語り手は、どのような思いで雪を見ているのだろうか。
「〇〇という解釈ができる」というとき、心の底では、「〇〇であってほしい」と願っているのかもしれない。
読み手の願いによって、いくつもの解釈が生まれるだろう。