本読むうさぎ

生きるために、考える

私を立ち止まらせる詩

病  佐藤春夫

うまれし国を恥づること。

古びし恋をなげくこと。

否定をいたくこのむこと。

あまりにわれを知れること。

盃とれば酔ざめの

悲しさをまづ思うこと。

 

この国に生まれたことに誇りを持てなくなったのはいつからだろう。

「あの頃は良かった」と昔を懐かしみ、今を否定することで心の平穏を保つようになったのはいつからだろう。

「しょせん自分はこの程度だ」と見切りをつけ、努力をしなくなったのはいつからだろう。

楽しみの先にある終わりを考えて虚しさを覚えるようになったのはいつからだろう。

 

常に心のどこかが冷めていて、満足を覚えなくなったのはいつからだろう。

 

何もかもどうしようもない、手遅れだと諦めていないか。見直すべきなのは世界の前に、私の見方、受け取り方ではないか。

立ち止まり、己に目を向けてみる。