本読むうさぎ

生きるために、考える

適量を知る

人にはそれぞれ「これだけあれば充分」という適量がある。

例えば、食事。運動をしている人とそうでない人とでは当然食べる量が違う。また、同じ人でも健康な時と体調を崩した時で食べる量に違いがある。朝と夜でも違うことがある。

人によって、また、時期によってその人の適量は変化する。

 

便利な世の中だ。いつでもどこでも手軽に情報にアクセスできる。ものの数秒で世間のトレンドを知ることができ、数多くある商品の中から自分にふさわしいものを選ぶことができる。

自分で作らなくても温かくおいしいご飯が食べられ、自分で作らなくても雨風をしのげる服を着ることができる。便利の御旗の下、私たちの周りは日々多くのモノで埋め尽くされる。

そうしてモノが溢れるにしたがって、私たちは適量を見失ったのではないか。

 

街中のいたるところでSDGsが叫ばれるのも、適量を見失ったことが背景にあるのではないか。

部屋を見回してみるといい。タンスの奥で大事に眠っている服。最後に着たのはいつだったか、次はいつ着るのか。いつか食べるだろうと置きっぱなしにしている貰い物の食べ物。気づけば賞味期限を過ぎていたなんてことを何度味わったか。自分へのご褒美に買ったバッグや靴。結局いつも使うものは固定していないか。

 

私たちの適量は、自分が思っているよりもずっと少ないのかもしれない。

全員でミニマリストを目指そうと言いたいのではなく、私たちが本当に必要なものは、実はすでに持っているかもしれないということを言いたいのだ。

 

自分にとっての適量を知る。

それが、充たされた人生の第一歩となるかもしれない。