小学生の頃、伝記にハマった時期がある。
野口英世、エイブラハム・リンカーン、H・C・アンデルセン、アルフレッド・ノーベル……
学校の図書館にあった「世界の伝記」シリーズをパラパラめくっては、努力を重ね、逆境を乗り越え、誰かのために身を捧げた人たちの生き様に羨望と嫉妬の眼差しを向けていた。
自分はこんなに頑張れないし、途中で諦めるし、誰かのために何かしようと思えない。こんな生き方ができたら自分の人生はどうなっただろう。そんなことをぼんやりと考えていたように思う。
伝記に限らず、小説であれマンガであれ映画であれ、主人公のひたむきな姿に元気づけられたり、悪役の悲惨な過去に同情したりすることはあるだろう。
「他人の人生」というのは、自分が経験し得なかった人生を追体験するからおもしろいのかもしれない。
ブログを読むのもまさに他人の人生の追体験だ。自分が味わわなかった感情や思考に触れるのはおもしろい。
どんな場所で育ち、誰と出会い、何を見て、何に触れたのか。何を得て、何を捨ててきたのか。何に喜び、何に怒るのか。そういった「他人の人生」を知ることで、私の人生はより深みを増していくのかもしれない。