少し前に近所の海を散策しました。
上田敏がフランスの詩人、ボードレールの詩を翻訳した『人と海』に次の一節があります。
こころ自由なる人間は、とわにめずらん大海を。
海こそ人の鏡なれ。灘(なだ)の大波はてしなく、
水や天(そら)なるゆらゆらは、うつし心の姿にて、
底いも知らぬ深海(ふかうみ)の 潮の苦みも世といずれ
うさぎなりに解釈してみると、
心が自由である人間は、いつまでも大海に心惹かれ、感動するものだ。
海こそ人を映す鏡である。
灘で生まれる大波はどこまでも果てがなく、
海と空の区別がつかないゆらめきは移りやすい人の心の姿を表しており、
奥底がわからない深い海の潮の苦さと人の世の苦さも区別がつかないのである。
こんな感じでしょうか。原文を読んでいないのでずれているところはあるでしょうが、いずれにしても海に感じ入る心は昔も今も変わらないのだなあと思います。
普段使わないからでしょうか、古語を使うとなんかかっこよく見えてしまいます。
近年まれにみる大寒波だそうですが、今日の海はどんな表情をしているのでしょうか。