高校生の頃に読んだのだろうか。
個性についての話だ。
芸術家が集まるパーティーがあり、一人ひとり登壇して挨拶した。
とある芸術家Aは奇抜な出で立ちで壇上に上がった。
周りと毛色の違う格好は人目を惹き、Aの姿は遠目でもよく目立った。
一方、Aの後に上がったBはいたって地味な服装だった。
数人集まれば紛れてしまうような、取り立てて語ることもない格好だった。
挨拶の後に品評会があった。
Aの作品はさほど評価されず、Bの作品は参加者の中でも最も高い評価を得た。
うろ覚えだが、おおむねこんな感じの話だったと思う。
個性とは、外面に表れるものではなく、内面から滲み出るものである。と締めくくられていた。
個性とは「内面から滲み出る」という表現が格好良く、今でもうさぎの大きな柱となっている。
個性とは見せつけたりひけらかしたりするものではなく、意識していなくても発言や行動に自然と表れてしまうものだ。
自分はどうだろう。「内面から滲み出る」ほどの品性や教養をもっているだろうか。
上っ面に流されてはいないか。ニュースやSNSに溢れる情報を鵜呑みにしてはいないか。
事実と意見を見極め、別の角度から物事を捉える。そういった品性や教養をもっているだろうか。