詩人、谷川俊太郎が詩について論じていて、なるほどな~と思うことがたくさんありました。
詩が芸術である限り、詩を書くことは芸に他ならない。(中略)われわれが人々と結びつく点では、われわれは常に詩人という芸人でなければならない
詩人は芸術家というイメージを持っていたのですが、詩人は芸人であるという考えに驚きました。芸人が芸を磨くように、詩人も自らの詩を磨かなければならないという筆者自身への戒めのようにもとれます。
芸術は絵画だけでなく、ある人の思いや考えが表現されているもの全般を指します。
映画やダンス、楽器の演奏、デジタルコンテンツを駆使したものなど、幅広いものに当てはまります。
人生ってのは、すばらしい緊張の連続さ
「すばらしい緊張」という言葉を聞いて、銀魂のセリフを思い出しました。
夏祭りを楽しむ女の子たちが「ずっと夏休みが終らなければいいのに」と呟く。
誰もが一度は願ったことがあるのではないでしょうか。
するとどこからともなくマダオ(まるでダメなおっさん)が現れ「終らない夏休みなんて無間地獄と変わらない」と恐怖のどん底に叩き落とす。
無職が言うからこそのおもしろさがあるブラックジョークなのですが、夏休みが楽しいと思うのは学校や仕事という緊張の場があるからであり、学校や仕事に緊張がなければ休む必要もないわけです。
学校や仕事は何かを学んだり、生み出したりするだけでなく、誰かに影響を与えたり、逆に与えられたりもする場です。
刺激を与え、受け取るという意味で「すばらしい緊張」があります。
芸術は生活そのものではなく、「夢」であると筆者は言います。
過去との地続きである現実の生活から離れ、生きている今の瞬間に酔いしれたり、まだ見ぬ未来に憧れたりさせることが芸術の仕事だと。
わたしたちは芸術を通して「すばらしい緊張」を思い出すから、また芸術にはまっていくのではないでしょうか。
詩や言葉について考えが深まる一冊でした。
自分の考えがアップグレードされる感覚って気持ちいいですね。
まだまだわからないところも多いのでじっくり噛みしめ、飲み込んでいきたいです。