むかしから「芸術家」を尊敬している。
音楽や絵画、文章を問わず「自分という存在をかけて表現する人」はかっこいい。
生きることは表現することだ。自分の中のありとあらゆるものを燃やし、世界に存在を刻むことだ。
表現とは時間を、体力を、知恵を、感情を絞り出して生みだすことだ。表現に触れるということはその人の人生に触れるということだ。人生に触れるとき、心は大きく動かされる。
芸術家とは、燃えたぎるような命の輝きの中を生きる人なのかもしれない。
うさぎは芸術家ではない。
誰よりも努力しているわけでもないし、人に誇れる才能があるわけでもない。世の中に訴えたい思いを持っているわけでもないし、かといって胸を張って堂々と生きてきたわけでもない。
輝きの中にはいない。そんな自分が、一体何を残せるというのか。
芸術家として何かを残すことはできなくても、生きること自体を芸術にできないか。見ること、感じること、話すことに輝きを見出せないか。