本読むうさぎ

生きるために、考える

一年をまとめない

つむじ風のように駆け抜ける師走にしがみついて生きている。

「師走」はお坊さんが忙しく走り回ることが由来と聞いたことがあるが、この時期に街角で見かけたことはない。お寺の中でてんやわんやしているのだろうか。

 

家では大掃除、町では決算セールと誰もがせわしない。いわゆる「一年のまとめ」というやつだが、この言葉がどうも好きになれない。

この1年、いろいろなことがあった。楽しいことも、つらいことも。生き方を見つめ直した回数なんて十指に余る。その時のうさぎが感じたこと、考えたことは形には残っていないが、自分の中に確かに残っている。それを「今年は〇〇な1年だった」とまとめてしまうのはどうなのか。その時の喜びも悲しみも一緒くたにされて、薄らいでしまうような気がする。

まとめるということは大切なものとそうでないものを選び分けるということだ。だが、何が大切なのか、そうでないのかはその時によって変わる。今の自分にとっては大切でないと思われても、5年、10年後の自分にとっては心の拠り所となるかもしれない。

 

人はまとめたがる。でも、あえてまとめないからこそ価値がるものもあるのではないか。

この1年、いろいろなことがあった。来年もそうだろう。そのすべてがうさぎを創る、かけがえのないものだ。

両手から溢れるほどの気持ちを抱いて生きていきたい。