『マチネの終わりに』平野啓一郎を読みました。
世界的に天才クラシックギタリストと国際ジャーナリストの短く長い恋を描いた大人の恋愛物語。40代という”人生の暗い森”に迷い込んだ二人の恋を軸に、生と死、親と子、戦争と日常などのテーマについても触れています。
”これまでたった三度しか会ったことがなく、しかも、人生で最も深く愛した人。”
会った回数と愛の深度はどれほどの関わりがあるでしょうか。
話は逸れますが、深く愛するや恋に落ちるなど、愛情を表すのに「高さ」を用いるのはなぜでしょうね。
テーマの一つに現在と過去があります。過去が現在に与える影響や、現在から見た過去の様相が描かれています。その中で次の表現が心に残りました。
”何かを終わらせようとしながら、覚えず反復してしまう。逃れるつもりで、気がつけば自らがそのあとを追っている。”
一つひとつのテーマへの深い洞察と、丁寧な描写に引き込まれました。
機会があればお手に取られてみてください。