本読むうさぎ

生きるために、考える

表情の話

社会人となって新しい出会いが少なくなった。さらにコロナによってただでさえ少ない出会いがほとんどなくなった。

普段は家と職場の往復なので、話す相手も、話す話題も代わり映えしない。閉め切った部屋の空気が淀むように、同じ相手と同じ話題ばかり話していると、心が腐っていくのを感じる。

 

退職の相談をいろいろな人にしている。同じ職種の人からは次の目処が立ってから辞めたほうがいいのではと言われた。

今の仕事に熱意を持てないから、自分のやりたいことと合わないから辞めたいと考えている。消極的な理由だ。今の状態では仕事を辞めたとしても、次何をするか見つからないだろうという心配をしてくださっている。

理屈はわかるが、次が見つかるまで耐えなければならないのか。次が見つからない限り辞められないということではないか。頭でわかっても心が受け入れなかった。

 

そんなもやもやした心を抱えたある日、すてきな人と出会った。20代半ばで仕事を辞めた後、好きなことを仕事にして、したいことをしている人だ。今は40代だが、昔の写真と今の写真を見せてもらったら表情がまったく違う。同じ人だと言われてもそうは見えなかった。

眉根が寄るというが、しんどいとき、つらいときには表情が顔の中心に集まる。プレッシャーやストレスで筋肉がこわばっているのだろう。

逆にのびのびしていると表情が開き、明るく見える。

 

自分の表情はどうだろう。毎日のように鏡で見てはいるが、寝癖がついていないか、剃り残しがないかということしか見ていない。

どれほど自分の表情に注意を払っているだろう。自分の表情を見て相手はどう感じるだろう。

 

仕事を続けようが辞めようが、人とのつながりがある。人とつながる第一歩が表情だ。辞めるまでは今の職場にいるのだから、そのつながりを大切にしたい。

 

明日の自分はどんな表情をしているだろう。