本読むうさぎ

生きるために、考える

「しんどい」との向き合い方

 

はじめに

人生を「しんどい」と感じるのはなぜでしょう。

家族との関係がしんどい、仕事がしんどい、何となくしんどい…

 

気持ちは心から生まれます。同じ出来事でもそれをどう受け止めるかによって気持ちは変わる。完璧は無理でも、出来事の受け止め方は変えられる。受け止め方が変わると、「しんどい」という気持ちが楽になったり、「しんどい」とは違う気持ちになったりするかもしれなません。

 

気持ちとの向き合い方や出来事の受け止め方について、考えてみましょう。



※私は精神科や心理学を学んだわけではないので、これまでの経験や読んだ本の知識などが中心になります。話半分で聞いてもらえればと思います。

 

「しんどい」とは何か

 脳には将来起こるかもしれない可能性を頭で予習しておくことで、実際に起こったときの衝撃を軽減する働きがあるそうです。「しんどい」に限らず、「不安」「心配」は目の前で起こっていることに対してだけでなく、これから起こりそうなことに対しても生じます。脳が発達しているからこそ、将来に備えることができるとても優秀な機能なのです。

 問題なのは、「しんどい」と感じることではなく、「しんどい」と感じて心身に悪影響が出てしまうこと。

 気持ちと反応を分けて考えると少し楽になります。

 

・3つのD

 「しんどい」を取り出してごみ箱に捨てることはできますか?それができれば楽ですが、気持ちは実体のないもの。体から取り出したり、ましてやごみ箱にポイもできません。実体がないということはそれから直接何かをされることはないということ。「しんどさ」は心身の不調に直結するものではありません。

 実体のないものに必要以上にとらわれることはないのです。

 

 そうはいってもやっぱり職場や学校に行くのは「しんどい」し、将来のことを考えると「不安」になるのが人間。「実体のないものにとらわれることはないって言ってるけど、そんなの自分には無理だよ」と考えてしまう。

 脳は変化を避けるようにできており、しんどい今の状況よりも、変化することで生じる(かもしれない)リスクを恐れます。将来のリスクに備えてしんどい今を続けてしまうわけです。

 次の3つのDが口癖になったり心の中でつぶやいたりするようになったら要注意です。

 

・でも  (ミスをして怒られた。でも自分は悪くない)

・だって (だって今日は疲れているからできない)

・どうせ (どうせしても自分には無理)

 

 これらの言葉が出たときは現状を続けようとしているサイン。しんどい今を続けるか、リスクを負ってでも行動するか。立ち止まって考えてみるといいですね。

 

「禅」からのアプローチ

 しんどい今を何とかしたい。でも毎回行動できるわけではない。そんな板挟みのときに使えるのが「禅」の考え方。禅がどういうものかはまた別の機会に述べるとして、心と向き合うためにできる考え方や行動を紹介します。

 

 

 

 

1調身、調息、調心

 体、呼吸、心は密接に関連しており、姿勢を調えることで呼吸が深まり、心が調います。

 朝目覚めたときや仕事の休憩中、夜の寝る前などに行うといいですね。立った状態でも座った状態でもできるので、隙を見つけてやってみましょう。

 

やりかた

1 骨盤の上に背骨を1つずつ載せるイメージで背骨を伸ばす。

2 肩甲骨を背骨に寄せるイメージで胸を開く。

3 あごを引き、背骨の上に首の骨を1つずつ載せるイメージで首筋を伸ばす。

4  息を吐くときに肩の力を抜いて、数回深呼吸する。

 

2結界を作る

 結界というと胡散臭い感じがしますが、気持ちを切り替える目印のことです。禅では目の前のことに集中する一方で、時間が来たらいっさいを忘れて切り替えることも大切にしています。一気に切り替えようとすると多くのエネルギーが要りますが、徐々に切り替えていくことで少ないエネルギーでできるようになっていきます。

 

家→会社

1 家から会社までの道で、毎回必ず通るポイントを3箇所設ける。

2 そのポイントを通り過ぎるごとに意識を仕事に向ける。

3 3つ目のポイントを通り過ぎたときには仕事に完全に意識が向くようにする。

 

会社→家

1 会社から家までの道で、毎回必ず通るポイントを3箇所設ける。

2 そのポイントを通り過ぎるごとに仕事でのストレスや考え事を手放す。

3 3つ目のポイントを通り過ぎたときには仕事から意識が離れるようにする。

 

 家の玄関扉を第1のポイント、最寄り駅の改札を第2のポイント、オフィスのエントランスを第3のポイント、というように結界を作っておく。もしくはセーブポイントをイメージを持つようにしてみましょう。

 

3一息(いっそく)に生きる

 友達や家族とご飯を食べているときにスマホを触っていませんか?忙しい生活では同時並行で2つ以上のことを行う「ながら」をしがちですが、それではどちらにも集中できず、中途半端になってしまいます。

 ご飯を食べるときは話を止め、食感や風味を味わう。話すときは相手の話に目と耳を向け、きちんと話を聞く。スマホを触るときは必要以上に触らず、要件をこなす。

 一つひとつの動作に意識を集中する。一時期マインドフルネスという名称が流行りましたが、今していることに心を込めて、丁寧に向き合うことで余裕が生まれます。

 特に集中しやすいのが朝。脳に余計な負荷がかかっていない朝に一つひとつの動作に意識を集中してみましょう。顔を洗っているときは水が顔に当たる感覚や冷たさを、歯を磨いているときはブラシのどこの部分が歯のどこに当たっているかを意識する。「今、この瞬間」に心を込める時間を作ってみてください。

 

まとめ

 「しんどい」人生と向き合うために、禅からのアプローチを見ていきました。「しんどい」という気持ちは、不確実な未来に備える脳の機能であること、人を「しんどい」と思わせる3つのDがあることをご紹介しました。「しんどい」と感じたり、「でも」「だって」「どうせ」が出てきたときには立ち止まって考えるようにしていきたいですね。

 禅からのアプローチとして「調身、調息、調心」「結界」「一息に生きる」を挙げました。普段の姿勢を見直す、気持ちを切り替える、今に集中することを意識して行うことで少しずつ生活が変わると思います。

 人生楽ありゃ苦もあるもの。思いのほかうまくいくときもあれば何をやってもうまくいかないときもあります。構えず、気長に、のんびり生きていきたいものですね。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。