本読むうさぎ

生きるために、考える

楽に生きるコツ 『今日も言い訳しながら生きてます』

 

 

はじめに 

 生きづらさを抱えて生きている人は多いかと思います。

 私も生きづらさに足が生えたような人間です。

 不安、焦り、憧れ、嫉妬…隣の芝生は青く見えると言いますが、周りの人はあんなに楽しそうに、生き生きと毎日を送っているのに、なぜ自分はこんなに辛い目に遭わなければならないのか。

 

時間を巻き戻せたら…あの人みたいになれたら…

 

そんな叶いもしない妄想で傷ついた心を慰めた経験は誰もがしたことがあると思います。

 

なぜ生きづらいと感じるのでしょう。

なぜ楽しく生きている(ように見える)人がいるのでしょう。

 

『今日も言い訳しながら生きてます』はそんな生きづらさを抱える私たちに逃げ道を教えてくれる一冊です。

 

前作の『あやうく一生懸命生きるところだった』はまだ読んでいないのですが、それを知らなくても充分楽しめます。

 

読んでみて特におもしろかったところ、みんなで共有したいところを3つ選びました。



・幸せは「大きさ」じゃない。「頻度」だ

 村上春樹さんがエッセイで小確幸(小さいけれど確かな幸せ)というものを紹介されたそうです。仕事終わりにキンキンのビールを飲んだり、寝る前にかわいい猫の写真を見たりなど、日常で感じる小さな幸せのことです。

 とあるコラムで小確幸について、「努力しても報われない時代であるため、大きな幸せを望むことが難しい。ゆえに、かろうじて許される小確幸が流行しているのだ」と苦言を呈しているのを見つけた筆者。「(ささやかな幸せ)すら楽しめなくて、何を楽しみに生きて行けというのか。」とコラムに真っ向から対立。

 

 「おしゃれなボールペンを買って感じる幸せは間違いで、車を買って感じる幸せは正しいなんて言えるのか?」

 

 幸せというのは、他人と比べて決めるものではなく、自分の心が決めるもの。自分にとっての幸せが他人に理解される必要はないし、他人の幸せが理解できなかったからと言って、否定するものでもない。「よそはよそ。うちはうち」のスタンスでいいのです。

 好きなアニメのグッズで部屋を埋めつくそうが、毎週キャンプに出かけて缶ビールを空けようが、それで自分に何の影響があるでしょう。好きなことが合うなら一緒に楽しめばいいし、合わないならそっと視界から外すだけでいい。簡単なことなのに、自分の価値観を押しつけてくる人が多いのはなぜでしょうね。もしかすると、私も知らず知らずのうちに押しつけているのかもしれません。反省反省。

 

 幸せの軸を他人ではなく自分にもつ。これが楽に生きるためのコツの1つ目です。

 

・戦い続けるとキリがないだろ?

 大学の授業で難民問題についてディベートをした筆者。討論するうちにヒートアップしてしまい、相手にひどい言葉を言ってしまいます。そこで、物事の是非や損得を判断するのではなく、どうすれば円満に和解して関係を続けて行けるかを考えるのが大切なのだと考えるようになりました。

 人生には、すっぱり答えを出せるような問題はほんの少ししかありません。今日の晩ご飯は肉か、魚かという問題ですら簡単に答えを出せないのです。国と国に関わったり、誰かの権利に関わったりする問題であればなおさらです。どの立場から考えるのか、どの視点から考えるのかで答えは変わるので、ケリをつけようとするとどうしても衝突してしまいます。

だからこそ、「円満に和解」できる道筋を一緒に考えることが大切なのです。そして、それを考えるには、自分との違いを受け止める胆力が不可欠です。最近は自分と違う=悪と見なす傾向が顕著になってきているように思うので、なおさら胆力の必要性は増しているでしょう。

 

「星の数ほどの考えや理解が絶え間なく衝突する戦場が、僕らの人生だ。間違いなくぼくやあなたは、誰かにとっては理解できない変人なのである」

 

 生れてから死ぬまで戦場の上に居続けると考えると辛いです。私もあなたも誰かにとっては変人だと思えば、争うのがばかばかしくなりませんか。どこかの死神みたいに「人間っておもしろ!」くらいに思っておけば争わなくて済みます。

 

 相手と争うのではなく、どちらにとっても納得できる道を探す。これが楽に生きるためのコツの2つ目です。

 

・妥協した人生もまた、居心地がいい

 一人暮らしを始めるに当たり、インテリアにこだわろうとした筆者でしたが、あまりの高額さに安い家具で妥協してしまいます。

 『フランシス・ハ』という若いニューヨーカーの映画を見た筆者は、「すべてが自分の望み通りじゃなかったとしても、短く折り曲げられた名前のように完全じゃない姿であっても、時には与えられた枠(現実)に自分を合わせる柔軟さが必要である」と考えます。

 

 これってとても大事な指摘だと思います。人生を思い描くのは大切です。夢や希望があるからこそ人生は輝きます。「今度の日曜日にはデートがある」と思えばこそ、つらい毎日も乗り越えられる。でも、思い描いた通りに物事が進むとは限らない。むしろ予想外なことだらけ。あなたの人生を思い返してみて、思い描いた通りになったことは何回ありますか。

 

 思い描いた通りに人生を作る力はあるに越したことはありませんが、それだけではどうしようもないときがある。思い描いた通りにならない人生に柔軟に合わせる力があると楽になれると思います。妥協とは決してマイナスな言葉ではなく、したたかな心の在り様です。

 

 現実に合わせて楽しみや幸せを変える。これが楽に生きるためのコツの3つ目です。

 

おわりに 

 今回は楽に生きるコツとして3つ紹介しました。

・幸せの軸を他人ではなく自分にもつ

・相手と争うのではなく、どちらにとっても納得できる道を探す

・現実に合わせて楽しみや幸せを変える

 

 楽に生きられないのは、自分の理想が高すぎたり、他人と比べたりするから怒るのかもしれません。うまくいかなくて当たり前。失敗して当たり前。幸せかどうかは本人が決めること。

 頑張れるときにはとことん頑張ればいいし、しんどいときにはとことん休めばいい。

 強い心とは、折れない頑丈さをもった心ではなく、折れてもまた立ち上がるしたたかさを持った心。

 今日もなんだかんだ言い訳しながら、生きていきましょう。