飲み屋で知り合ったおとうさんが「えん」と「えにし」の話を聞かせてくれた。
どちらも「縁」と書くが、「えん」は仕事で知り合ったり飲み屋で出会ったりなど、一回きりというか、ごと短い期間のつながりを表す。対して「えにし」は幼いころからの友人など、長く、深いつながりを表すという。
辞書的な意味を調べてみた。「えん」は仏教から生まれた言葉で、間接的な原因や巡り合わせ、きっかけを意味する。「えにし」は「えん」に強意の副助詞「し」(うさぎ追いし かの山の「し」)がついた言葉で、とくに人と人のつながりについて意味するとあった。
「えん」、「えにし」の類語で「ゆかり」「きずな」「よしみ」などがある。
つながりを表す言葉がこれだけ豊富にあるということは、それだけ関係の持ち方が豊富にあるということ。SNSやオンライン上での友達は増える一方、会社の飲み会への参加が減っているという話をあちこちで聞く。誰と、どれくらいつながるかが多様になっているからこそ、自分が何を大事にしたいのか、どうありたいのかを今一度立ち止まって考えてはどうだろうか。
今あるつながりを「えん」にするか「えにし」にするか、これからの出会いをどうするか。
そんな人とのつながりを考えさせられる話だった。