本読むうさぎ

生きるために、考える

人類の苦渋

今週のお題「あまい」

 

幼い頃から甘いお菓子が大好きだ。

1週間のうち6日はチョコレートをつまみにココアを飲んでいたくらいだ。

代謝がいいからか、体型に出なかったのをいいことに家じゅうにあるチョコだのクッキーだのポテチだのがことごとく胃袋に収められた。

それでいてまだ食べたりないと感じていたのだから、欲深いことこのうえない。

糖尿病という言葉を知ったときには、小学生ながらに血糖値に怯えていたのを覚えている。

 

高校生くらいからだろうか、さすがにこの生活はなんとかしないとと思い、甘いものを断つと決めた。

覚悟は揺らぐものである。「もう食べない」と決めたときからストレスフルな毎日だった。

「我慢している」という感覚が大きなストレスなのだろう。食べたいというよりも食べなくてはならないという脅迫観念じみた欲望との戦いに次第に疲弊していった。

出来るだけストレスをかけずに目標を達成する方法を考えるとき、人の脳は一段階ギアが上がるのだろう。

飲み物だけ甘いのは控えるという妥協点に落ち着いた。ココアはもちろん、コーラとかカルピスといったものを断つようにした。

生まれて初めて飲んだブラックコーヒーは人類の苦渋が詰められているような味がした。

 

以来十数年、家ではジュースをほとんど飲まない。

お菓子は変わらず食べているからストレスなく甘いものに溺れられる。

ある目標を達成したいとき、ここまでなら譲れるという妥協点を持っておくとストレスを大きく減らすことができる。

目標自体を妥協してもいいだろうし、具体的に何をするかを妥協してもいいだろう。

自分のペースで続けられるラインを見つけるがコツだ。

 

今日のコーヒーにも人類の苦渋が詰まっている。