本読むうさぎ

生きるために、考える

二度と会わないものたちとの出会い

空が晴れ渡っているから山に登りました。

5月の山は緑深く、陽を跳ね返す葉が白く光っています。

種田山頭火が「分け入っても分け入っても青い山」という句を遺しましたが、初夏の山には命が密と詰まっている感じがします。傍で守ってくれるような頼もしさと、取り囲んで塗りつぶしてしまうような圧迫感が同時に存在する不思議な空間です。

少し歩いただけで汗が首筋を流れますが、吹く風は涼しく心地よいです。どんどん先に進みたい気持ちにも、そこにとどまって吹かれたい気持ちにもなります。

山での出会いはすべて一回限り。花も鳥も虫も二度と会うことはありません。ですが「袖振り合うも多生の縁」という言葉もあるように、ほんの一瞬の出会いにも縁があり、それはまた別の縁を招くことがあります。

縁は人との間でだけ生まれるものではありません。花や鳥や虫との出会いがいつか形を変えて返ってくるかもしれない。そう考えると、山を登ることは未来を創ることと言ってもいいかもしれません。

二度と会わないものたちとの出会いが未来を変える。私は今日、何と縁を結んだでしょうか。私は今日、誰かと誰かの縁を結ぶきっかけとなったでしょうか。

 

 

今回の山登りではお地蔵様たちと縁を結びました。次は何と縁を結ぶのか、楽しみです。