同じところを何度も搔いているなと思ったら、蚊に刺されていた。
皮が捲れ、少し血が滲んだ皮膚。一度気になると忘れることができない。
中心に爪で✖を描いたり、周辺をなぞるように掻いたり、捩ってみたり。
自分の体なのに、刺されたところだけ自分の体ではないように思われる。
翌日の小さな跡のよそよそしさ。
見たいとも触りたいとも思わないのに、そこに在る。
刺されたときよりも、腫れが引いた後がグロテスクに映る。
祭りの後の屋台や電飾を片付ける白々しさ。
うさぎには、生きている体と死んだ体が混在している。