今週のお題「地元自慢」
自宅から車で40分ほど走ったところに灯台がある。
地元ではそこそこ有名な場所で、いつ行ってもちらほら人影が見える。
橋でつながった島の尖端の切り立った崖に立つ灯台。そこからの景色は360℃海だ。
水平線が遠く広がり、空との境はどこだろうかと目を凝らすと、漁船が小さく浮かんでいるのが見えることもある。
水平線の距離は5kmほどだと聞いたことがある。5kmにもわたって何もない場所に放り出されたら、どんなに心細いだろう。
人と会うことはほとんどない。波の打ち寄せる音に揺られて、しばらくぼうっとする。
いつでもどこでも誰とでもつながれる今の社会、「おひとり様」や「ひとり○○」なんて言葉で強調しないといけないほど、自分だけの時間をつくるのは難しい。
ひとりの時間。なんと贅沢な時間。
海は何も語らない。目の前に広がっているだけだ。何も語らないからこそ、ひとりを味わうことができる。がやがやと騒々しい観光地の海ではだめだ。誰もいない、ひっそりとした海がいい。静かな海だから存分にひとりを満喫できる。
地元の自慢は海だ。観光地ではなく、ひとりになれる海。
家から飛び出して、ひとりになれる場所があると思うだけで、今日も何とかなりそうだ。