誰も通らないような人気のない道やさびれた通りを歩くのが好きだ。
公園を散歩していたら、片隅に忘れ去られたようにひっそりと道が隠れているのを見つけた。
小さい公園とはいえ、隠し通路を見つけると進んでしまいたくなるのが男心。さっそく進んでいく。
竹が倒れて道を塞いでいるのをかき分けていくと、ちょっとした広間に出た。
小さいヒマワリみたいな花が咲いていた。
花には疎いので検索してみると、カタバミだそうだ。
誰も訪れない場所で懸命に花びらを広げるカタバミ。
広間には街灯がなかったから、夜になると一帯闇に包まれるだろう。
風の吹き抜ける音と、竹の軋む音だけが聞こえる闇。どんなにか心細いことだろう。
誰にも見られることなく、今日を終えようとするカタバミ。
私は、どうだろう。
誰かの記憶に残っているだろうか。
世界に、生きていた証を残しただろうか。
私の世界は闇に包まれていないだろうか。
誰の姿も見えず、自分の姿を見られることもない世界。
不安と孤独の世界。
あのカタバミは今どうしているだろう。