本読むうさぎ

生きるために、考える

髪の話

生まれて27年、髪で遊んだことがない。

 

小学生のころは散髪代をけちった親が自宅でバリカン片手にガリガリしていた。髪が服に付かないように上半身は裸だった。冬が寒かった。

 

中学に上がると校則に則った髪型にした。とくに抵抗はなかった。むしろ、紫ヘアーの先生に衝撃を受けた覚えがある。髪で遊ぶのはマイナスなイメージがここで生まれた。

 

高校に進学。ひねくれ者が目白押しと並ぶ博覧会のような学校だった。ひねくれ者だが規則には従う素直な生徒が多かった。「親や教師の言うことなんか聞くか!」というエネルギッシュな生徒は周りにいなかったし、うさぎも「親や教師の言うことなんか聞くか!」というエネルギッシュな反抗期を迎えなかったから髪で遊ぶという考えが生まれることはなかった。

 

そうして大学。うさぎ、はじめて生で金髪を見る。学校に犬が入り込んだときのように興奮した。「わあ!キンパツだ!」

身近にキンパツはいたが、だからといって髪で遊ぶ発想は生まれなかった。

「同じ3000円をかけるなら美容室より食べ物派」のうさぎにとっては月一の散髪も面倒くさかったくらいだった。

 

その姿勢は社会人になっても変わらず、こうして染めたこともパーマを当てたこともない、純粋無垢な黒髪をしたうさぎが誕生した。

 

そろそろ髪を切る時期だ。2022年最後の散髪になる。何かしたいなとは思うが何をすればいいかわからず困っている。

歳を取れば取るほど、挑戦することへの心理的なハードルは高くなるように感じる。

今から茶髪にしちゃっていいのか。ここで金髪を選ばないところもビビっているんだろうな。

 

髪で遊ぶ。やってみればたいしたことはないことはわかるが、何事も最初の一歩を踏み出すのは怖いものだ。

ビビりなうさぎに勇気をわけてくれ。